トヨタ90系ヴォクシーハイブリッドE-FourをRS-R Ti2000でローダウン後に、仮の四輪トータルアライメント調整後に5000km走行して、本アライメントを行って全ての作業が終わりました。仮アライメント測定から本アライメント測定までの走行性能や燃費が明らかに違いすぎたので、自動車の四輪ホイールアライメント調整の必要性について記事にいたしました。
自動車の四輪ホイールアライメント調整の必要性!燃費向上や走行性能にも影響するメンテナンス
ヴォクシーハイブリッドE-Fourのローダウンの事
80系ノアとヴォクシーの4WDは尻上がりでホットロッドかと思えるような超前傾姿勢になっているのは有名な話ですが、90系ノアとヴォクシーの4WDとハイブリッドE-Fourは、前の車高も上げて4WD専用のサスセッティングをしています。
これによって80系同様の超前傾姿勢は解消されているのですが、フェンダーアーチの大きさに対してタイヤサイズが小さい事と、特にリアのフェンダーとタイヤ間のクリアランスが大きくなりすぎて、イカツイ見た目に対してチョロQみたいなずんぐりむっくりスタイルが気になってしまいます。
RS-R Ti2000を取り付け後は、フェンダーとタイヤのクリアランスが小さくなって、スタイリッシュでまとまりが良いスタイルに落ち着き、カーブを曲がる時のロールも減ってワインディングロードでもかなり走行しやすくなったとは思います。
しかし、それも仮のトータルアライメントで調整した直後のみの話で、スプリングが馴染んでいくと同時に直進安定性が下がってフラつきやすい症状や、モーターで走行可能な速度域が徐々に低下して走りにくくなってきたのは体感で感じておりました。
ローダウンスプリングの取り付けや四輪トータルホイールアライメント調整は全て、地元でも特に実績と技術力があるコクピット名取店さんにお願いしております。
今まで所有してきた車両でもローダウンと四輪トータルホイールアライメントを行っておりますが、今回初めてミニバンのハイブリッド車を所有した事で、明らかな違いを体感する事ができました。
まず、ローダウン後のアライメント調整値についてご紹介します。
ローダウン後のアライメント調整値
キャンバー角
ローダウンスプリング取り付け後は、フロントとリア共に、マイナスキャンバー(ネガティブキャンバー)となり、正面からタイヤを見た時に若干のㇵの字型になります。
タイヤをㇵの字型にする事で、外側サスペンションが沈んで内側サスペンションが伸びるような高速旋回時に、主に荷重がかかる外側タイヤの設置面積を増やして旋回性能を上げられるメリットがありますが、通常走行時は設置面積が減少してタイヤの内減りやグリップ力の低下、直進安定性の低下を招きます。
鬼キャンと言われる過度なキャンバー角を付けた車両のルーツは、フロントにキャンバー角を付けるのはドリフトを中心とした走り屋、リアに付けるのは高級セダンのマルチリンクサスペンションの特性で、ローダウンをした時にネガティブキャンバーが付く状態を再現したものがルーツになっております。
最近見かける鬼キャンは、自分でもイマイチよく分からない部分はありますが、2度を超えるキャンバー角じゃない限り、アライメント調整でトーを調整するだけでも過度な片減りはしなくなります。
フロント-0.27度、リア-1.15度~-1.35度程度であれば、タイヤの空気圧とトゥ(トー)調整で抑えられる範囲ですし、ノーマル状態と比べても許容範囲に収まっておりますので、タイヤの減り方には特に影響はないでしょう。
トー角(トゥ角)
上から見て車両の進行方向に対してタイヤの向きががに股になっていたり内股になっていたりするのを数値化したのがトー角と言われる調整項目です。
トー(toe)とは英語で足のつま先の事で、がに股状であればトーアウト、内股であればトーインと呼びますが、この調整項目全体をトーイン調整と呼ぶのは間違いでです。
一般的にはトーインにすると直進安定性が高くなって、高速走行時などにもふらつきにくくなるメリットますが、過度に角度を付けすぎるとタイヤが内側に入ろうとする力が働いて、タイヤの異常摩耗やふらつきなどを発生させるデメリットがあります。
逆にトーアウトにするとリニアでレスポンスの良いハンドリング性能と旋回性能を示す反面、過度に角度を付けすぎるとタイヤが外側に進もうとする力が働いて、タイヤの異常摩耗やふらつき、直進安定性の低下などを引き起こすデメリットもあります。
今回は、ローダウンをしてロール量が減った分、カーブを曲がる時の旋回性能も上がっているため、高速走行時などの直進安定性を高める目的と、走行時にアーム類が後ろに押されてトー0に近付くのを見越して若干のトーインに調整してもらいました。
フロント30mm程度のダウン量でも-12.5mmのトーアウト傾向となったため、90系ヴォクシーとノアに関してはローダウン後の四輪トータルアライメントは必須ですが、ストラット式サスペンションでもかなり大きなずれが生じていたので、どの車でもフロントだけでも調整は必須と思っていた方が良いと思います。
リアに関しては元々アライメント調整ができないトーションビーム式コイルスプリングサスペンションを採用しているため、新車組付け時の誤差で左右のずれが生じる場合もありますが、このずれによって生じた直進位置のずれをフロントトーで打ち消す調整を行っていただいております。
キャスター角
キャスター角はサスペンションのアッパーマウントから車軸センターまでの角度を数値化したもので、キャスター角が付いてサスペンションが寝るような姿勢になれば直進性が増すとは言われております。
ただし、キャスター角についてはボルト穴のガタつき分を超えるような大きな調整が出来る機能が備わっていない事が多く、多くの場合は調整不可と考えられている場合がほとんどです。
仮アライメントと本アライメントの間に感じた重要性
90系ヴォクシーハイブリッドE-FourにRS-R Ti2000を取り付けて仮アライメント調整をした後の記事はこちらのURLでご紹介しています。
90系(ZWR95W)ヴォクシーハイブリッドE-FourにRS-RのローダウンスプリングTi2000を入れてローダウンをして、前車の形見の19インチを入れてツライチ?マッチングをいたしましたので、装着後のダウン量や乗り心地も含めてレビューをしていきたいと思います! 90系ヴォクシーハイブリッドE-...
まず、直感的にコーナーリング性能や直進安定性が上がったと感じたのは間違いない事ではありましたが、スプリングが徐々に馴染んでダウンサス取り付け後3000kmを超えたあたりから、高速道路走行時に段差を超えた後のふらつきや、カーブを曲がる時にステアリングの切り増しをしないと曲がりにくいような症状を感じておりました。
5000kmを走行して本アライメントで再調整をした所、フロントトーが0.3mmのトーアウトとなっており、全体的に左右差も生じていた事で、安定感が無い走行状態となっていた模様です。
適正値に戻して山道や高速道路などをテスト走行した所、ふらつきやカーブを曲がる時の曲がりにくさが解消されて、ダウンサス取り付け後の走りやすい車体を取り戻す事が出来たと思います。
何よりもアライメントを取り直した効果が大きかったのは、EV走行で走れる速度域が上がった事でしょう。
90系ヴォクシーハイブリッドE-Fourは、時速60km/h前後がモーターのみで走れる境界線となるのですが、その速度域が上がって70km/hや80km/hで走れる機会も増えて、今まで記録した事が無かった平均燃費25.2km/hをマークした区間もあります。
その大きな要因として、特に大きかったフロントのトーアウト傾向が解消されて、タイヤの転がり抵抗が減少した事にあるのですが、特にEV走行が可能な速度域が燃費を左右するハイブリッド車では、ガソリンエンジン車以上に四輪トータルアライメントの測定と調整をする効果が絶大でした。
新車工場では流れ作業で足回りパーツの取り付けと締め付けを行っているので、新車にアライメント測定をすると基準値からずれているという事も少なくないという話をたまに聞きますが、もし燃費が悪かったり走行時にふらつきやすいなどの症状を感じるのであれば、アライメントを取ってみるのも良いのかもしれません。
ディーラーでの整備や点検をするのも良いですが、チューニングなどを行えてさらに深く突っ込んだ技術力があるショップをセカンドオピニオンにするのはオススメです。
今回の本アライメントまでの作業については、ダウンサス取り付け工賃に全て含まれた料金なので、他店に比べると取り付け工賃は割高にも感じる金額ではありましたが、タイヤの減りや燃費などを含めた長期的な判断では、アライメント込みでかなりお得になりますね。
最近はショップでアライメントを測定するだけではなく、自分でアライメント測定が出来るようなゲージも販売されるようになったので、整備士の資格を持っている人や、サーキットなどでセッティングを変更したいような人にはアライメントゲージを購入するのも良いですね。
それでは!
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