ブラックマジックデザインのポストプロダクションソフトウェアDaVinci Resolveで輝度やコントラストなどを調整したり、部分的に色相を変更する事が出来るカラーホイールの操作はカラーコレクションやカラーグレーディングの基本的な操作となります。この記事では各項目の説明や操作方法について解説していきます。
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DaVinci Resolve カラーホイールの使い方や操作方法
ブラックマジックデザイン DaVinci Resolveとは?
ブラックマジックデザインDaVinci Resolveは、CMやMV製作のプロの現場や無料でインストール出来る手軽さから映像に触れたばかりの初心者にまで幅広い層に使われる事があるポストプロダクションソフトウェアです。
Adobe製品でも出来ない事は無いですが、どちらかと言えばRAWやLog素材の映像の色調を補正するカラーコレクションやカラーグレーディングに特化したソフトウェアで、写真で言うレタッチと同じ事を映像でもしやすいように作られています。
色調補正の基本となるカラーホイール
写真のRAW素材のレタッチと違う点は、フィルムの広いラティチュードをデジタル信号に収めるためのLog方式で記録したデータを、モニター上で映像として認識できるようにする作業が必要なため、その際にカラーホイールを使用した色調補正が必要となります。
ある程度覚えてしまえば大したことが無いのですが、時々忘れてしまいそうな自分用のメモも兼ねて、カラーホイールで調整できる項目や調整方法についてまとめました。
それぞれの項目が分かりやすいように、0から1023まで直線的な波形になるようにグラデーションのグレーチャートを読み込ませました。
この記事では、ヒストグラムの0をブラックポイントと呼び1023をホワイトポイントと呼ばせていただきます。
プライマリーカラーホイール / リフト
カラーホイールのリフトは、ホワイトポイントを固定したままブラックポイントの輝度を変更する機能です。
リフトの数値を上げると、一番明るい部分(ホワイトポイント)に向けて一番暗い部分(ブラックポイント)が明るくなると同時に全体のコントラストが低くなります。
ブラックポイントを上げてコントラストが低い映像に仕上げる場合や、逆にブラックポイントを下げて暗部を引き締めた映像に仕上げたい時に使用します。
プライマリーカラーホイール / ガンマ
カラーホイールのガンマは、ホワイトポイントとブラックポイントを固定したまま、中間の輝度を変更してガンマの補正量を調整する機能です。
数値を高くすれば中間を中心に明るくなり、数値を低くすれば中間を中心に暗くなります。
中間の輝度を持ち上げて明るく柔らかい映像に仕上げたり、逆に下げてくっきりと引き締まった映像に仕上げる時などの使用できます。
どちらに動かしてもホワイトポイントとブラックポイントはほとんど動かないのですが、正確に言えばガンマと一緒にホワイトポイントとブラックポイントも引っ張られて多少は動いています。
プライマリーカラーホイール / ゲイン
カラーホイールのゲインは、ブラックポイントを固定して一番明るいホワイトポイントの輝度を変更する機能です。
リフトと全く逆の動きをする機能なので、ブラックポイントを変更しないまま、数値を下げれば暗く、数値を上げれば明るい映像に仕上がります。
プライマリーカラーホイール / オフセット
ブラックポイントからホワイトポイントまでの全体をフリーにして全体の輝度を変更する機能です。
映像の一番明るい部分と映像の一番暗い部分も一緒に動くので、コントラストを変更せずに全体の明るさを変更したい時に使用します。
プライマリーカラーホイール / シャドウ
Logホイールにも同じ項目がありますが、プライマリーカラーホイールのシャドウでは、中間とブラックポイントの間の輝度を変更する事が出来ます。
ブラックポイント付近で暗部が詰まってしまって黒潰れしているように見える時や、暗部の締まりが足りない時などに使用しますが、ホワイトポイントとブラックポイントを固定したまま中間付近の輝度も少し動きます。
プライマリーカラーホイール / ハイライト
ハイライトは、中間からホワイトポイントまでの輝度を主に調整できる項目なのですが、ブラックポイントがほとんど動かなかったシャドウに対して、こちらはホワイトポイントを大きく動かしてしまいます。
多少はハイライトのコントラストが低くなるので、カメラ側で高輝度部分を圧縮するニー(Knee)に似た特性を持った機能なのではないかと思います。
一度クリップした(1023を超えた)映像の白飛びは取り戻せませんが、ゲインやガンマと併用して高輝度部分のコントラストを強くしたり弱くしたりするためにも使用できそうです。
色温度・ティント
色温度とティントは、両方の数値を調整して映像のホワイトバランスを調整する機能です。
色温度は、数値低くすれば映像が青っぽくなり、逆に数値を高くすれば黄色っぽくなります。
ティントは、色合いを調整する機能で、数値を高くすれば赤っぽくなり、数値を低くすれば緑がかった映像に仕上がります。
コントラスト・ピボット
全体の明暗差を圧縮したり拡大するための機能です。
コントラストを低くすれば柔らかい色調の映像に仕上がり、高くすれば引き締まったような硬い映像に仕上がります。
ピボットは、コントラストを調整した時に使用できるようになる機能で、ブラックポイントまたはホワイトポイントの間で全体の明るさを調整するための機能です。
Log素材やRAWの素材でヒストグラムやパレードの上と下に余裕があっても、コントラスト値を全く変更していない場合には、ピボットで調整をする事は出来ません。
ミッドトーンディテール(MD)
ディテールがある部分周辺の明暗差を強調して、被写体をくっきりとさせるAdobe製品の明瞭度に似たような機能です。
部分的に明暗差を強調するので、被写体の周囲に暗い影が出来たり逆に明るくなってしまって被写体が浮いてしまう事もあるので、使い過ぎには注意が必要です。
シャープにも似ていますが、シャープではミッドトーンディテールと全く同じにならなかったので、少々仕組みが違うっぽい。
ブーストと彩度
Adobe製品で言えば自然な彩度と彩度と似たような効果が得られる機能らしい。
カラーチャートのそれぞれのマスの上半分が彩度、下半分をブーストそれぞれ100の値に調整をしたのですが、主にマゼンタ・ブルー・シアンでブーストよりも彩度の方が色が濃くなる感じでした。
逆に彩度とブーストの両方をマイナス100にすると、彩度ではモノクロになるのに対し、ブーストはイエローからオレンジの色が若干残りました。
色相
ホワイトバランスを調整しても特定の部分で色が違うなどの、色相のずれを修正する機能です。
よっぽど粗悪なカメラではない限り極端にずれる事は無いですが、ホワイトバランスを調整しても色が合わない場合などは、根本的に色相がずれて記録されている映像である可能性があります。
カラーホイールまたはカラーバーと輝度ミックス(輝M)
カラーホイールやカラーバーで色調を変更する際には、リフト・ガンマ・ゲイン・オフセットで動いた部分と同じ場所の色調を変更する事が出来ます。
カラーホイールのガンマの色相を赤に寄せると中間付近中心に赤くなり、リフトを赤に寄せるとブラックポイントを中心に映像が赤くなります。
ガンマだけ赤に寄せたつもりなのに、青や緑のヒストグラムも動いてしまう事がありますが、輝度ミックスを0%にすれば赤以外のヒストグラムは全く動かなくなります。
カラーバーは省略してしまいますが、カラーホイールは円の中で調整するのに対し、カラーバーはYRGBそれぞれをバー状に表示しているだけの機能なので、前者と後者の機能はほぼ同じとなります。
プライマリーLogホイール / シャドウ
↓レンジ(ローレンジ)を基準にブラックポイントを明るくしたり暗くするための機能です。
暗部のコントラスト拡大や圧縮が出来る他、暗部の特定部分の色調を変更するためにも使用できます。
カラーホイールのリフトでは、ホワイトポイントまでの全体が動いていましたが、Logホイールのシャドウはローレンジまでの限定的な部分までの調整が可能です。
ローレンジがどの位置にあるのか掴みにくいとは思いますが、一度シャドウの数値をマックスまで上げてからローレンジを調整すると、映像の中のどの明るさからシャドウが動くのかを把握しやすくなります。
プライマリーLogホイール / ミッドトーン
ローレンジ(↓レンジ)とハイレンジ(↑レンジ)の間の輝度を調整します。
ローレンジとハイレンジの間隔を狭くしたり、調整をしすぎるとレンジが切り替わる境目で違和感が出てしまう事もありますが、特定部分の明るさや色、またはコントラストを変更するのにも有効です。
こちらもシャドウをマックスまで上げてハイライトをマックスまで下げると、ローレンジとハイレンジがどの位置にあるのかを把握しやすいです。
プライマリーLogホイール / ハイライト
ハイレンジ(↑レンジ)から上の明るい被写体の輝度を調整する機能です。
ハイレンジから上の明るさのコントラストを弱くしたり、ゲインやハイライト(カラーホイールの下のハイライト)と組み合わせてハイレンジから下の被写体のコントラストを高くするような使い方も可能です。
また、ハイレンジから上の明るい領域の色調をカラーホイールで調整するツールとしても使用できます。
プライマリーLogホイール / オフセット
プライマリーカラーホイールのオフセットと全く同じ機能なので、説明は省略します。
慣れるまではトライ&エラーの繰り返し
頭では理解していても、なかなか思い通りに調整できない期間も続くとは思いますが、カラーホイールの動きを少しずつ頭に叩き込んで覚えていくのが最善なのではないかと思います。
カラーグレーディングしていると、時々どんな動きをしていたかを忘れてしまう事もあるので、自分用のメモとしても記事として残させていただきました。
ハマると楽しくなってきますが、クリップ数が増えてくると少々めんどくさくなるカラーグレーディングの基本となるので、是非覚えておいて下さい。
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